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鈴木 |
こんにちは、福永さん。今回は対談のお相手をお引き受けくださいまして、ありがとうございます。といっても、毎日のように協会のお仕事でお会いしていますが…。まずは福永さんとファッションの関わりについて伺わせてください。 |
福永 |
僕はファッションが大好きで、高校時代はアイビーの全盛期。食べ盛りなのに、お昼を抜いて昼食代を貯めてはシャツを買っていたんですよ(笑)。石津謙介さんに憧れて、大それたことにデザイナーになろうって野望を抱いたんですが、挫折。
どうにも才能がない。販売のアルバイトもしたんですが、これもどうも違う。他にファッションに一日中触れていることができる仕事はないかって思って、入ったのが日本繊維新聞社でした。 |
鈴木 |
ファッション・ジャーナリストとしてデビューですね。 |
福永 |
いやいや、実はこれが大きな失敗でね。 |
鈴木 |
えっ、どうしてですか。 |
福永 |
ファッションに触れていることはできるけれど、原稿を書くのが苦手だということに入ってから気づいたんですよね(笑)。まあ、書くことはトレーニングで何とかなりましたけれど、最初は地獄の日々でした。 |
鈴木 |
それは大変なスタートでしたね。それからはずっとファッション畑一筋でやっていらしたんですね。 |
福永 |
そうです。新聞社を辞めてフリーになってからも、ずっとファッション、それもどちらかというとメンズが中心に記事を書いてきました。ファッションが好きというのは、原稿を書く上での絶対条件だと思っています。やはり、細部まで気になるし、その気になることを追求していきますからね。 |
鈴木 |
「好きこそ何とか」と言いますものね。福永さんの原点は、そこにあったんですね。ところで、リ・ファッションとの出会いは…。 |
福永 |
ファッション大好き人間としては、ついつい服を買ってしまう。体型や流行が変化して、着るに着られない。かといって捨てるに捨てられない、そんな服が溜まってきて…。家庭内滞留とでも言うべき、これらの服を何とかできないかと、ずっと思っていたんですね。それでアパレルリサイクル検討委員会に入り、木田さんたちと知り合い、ファッションとエコについても視野に入れて活動し始めました。 |
鈴木 |
木田さんとの出会いが、一つのターニングポイントだったのですね。 |
福永 |
そうです。木田さんを通じてファッションビジネス学会の総会で鈴木さんたちと知り合い、リ・ファッションという言葉に出会い、自分のやろうとしていることと近いのではないかと、実現させられるのではないかと思ったのです。 |
鈴木 |
ご自身のなさろうと思っていたことって、どのようなことなのでしょうか。 |
福永 |
特定企業のコンサルではなく、産業全体にパブリックな視点で客観的な基盤の整備に関わることが自分の使命ではないかと考えています。現在、大学で教えているのも、そんな気持ちからです。 |
鈴木 |
ご自身の使命としてですか。でも、なぜ、そう思われたのですか。パブリックな視点というところが気になります。 |
福永 |
実は、うちは祖父の代から公務員一家で、父も兄も公務員でした。自分も新聞記者という公器に携わってきたせいもあるんじゃないかな。 |
鈴木 |
なるほど。パブリックという言葉がDNAに組み込まれているのかもしれませんね(笑)。 |
福永 |
リ・ファッション協会で、家庭内にある着られない服、捨てられない服をよみがえらせることをサービス産業として成り立たせたいと思っています。これはモノではなく、コトの事業なんじゃないかな。 |
鈴木 |
サービス産業ですか? コトの事業というのも、何となく分かるのですが、ちょっと分かりにくいですね。 |
福永 |
言葉の定義的なことになるけれど、リサイクルというのは「モノの再生」であり、それに対し、リ・ファッションというのは「コトの再現」なのではないかなと思います。 |
鈴木 |
リサイクルというのは、単にモノがよみがえるという物的なことに過ぎないけれど、リ・ファッションにはモノがよみがえったコトによる喜びも含まれるってことかしら。 |
福永 |
そう。だから、コトの再現はサービスであり、リ・ファッションはサービス産業になるんじゃないかな。 |
鈴木 |
確かにリ・ファッションを楽しんでいる方のお話を聞くと、カスタマイズする喜びがひしひしと伝わってきます。 |
福永 |
そうでしょう。そこがリ・ファッションのリ・ファッションたる所以ではないかと思います。 |
鈴木 |
最後に福永さんの今後、協会に於ける役割についてお聞かせください。どのようなことをやっていきたいかについてですね。 |
福永 |
自分の役目はリ・ファッションを広めるPR担当だと思っています。一般の方々だけでなく、業界に対しても「気づき」を持って欲しいし、そのための出会いの場や、仲介など…。とは言っても、リ・ファッション自体とても深いものであり、なかなか難しいことは重々自覚しています。 |
鈴木 |
本日はありがとうございました。まだまだ長い道程ですが、これからもいっぱいいっぱいお力をお貸しください。よろしくお願い申し上げます。 |
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福永成明(ふくなが・しげあき) |
・1947年7月27日生まれ
・東京都出身
・(社)日本リ・ファッション協会理事会長
・(有)ファッションリンクス代表 |
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