生活スタイルを見直す”リ・ファッション”の推進によって、循環型社会の実現と、生活の質的向上を目指します。
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鈴木純子のリ・ファッション対談
(社)日本リ・ファッション協会、代表理事の鈴木純子が、リ・ファッションに関係するキーパーソンと対談し、リ・ファッションとは何かを掘り下げると共に、それぞれのリ・ファッションに捧げる情熱に迫ります。
第12回目は、株式会社喜久屋の代表取締役、中畠信一氏をお招きしました。クリーニングは循環型ファッションに欠かせないケアやメンテナンスのサービスですが、残念ながらクリーニング業界は、縮小傾向にあります。その中にあって売上げを伸ばし続ける同社の今後の戦略はいかなるものか? 大きな展望が見えてきました。
 
鈴木 今回は、リ・ファッション対談をお引き受けくださいまして、ありがとうございます。また、「衣料回収キャンペーン2010秋」でもご協力いただき、ありがとうございました。
私自身は、喜久屋さんとは、「e-closet(イークローゼット)」をご一緒に立ち上げて以来、社長の発想力、実行力にいつも圧倒されています
中畠 衣料回収はお客様のお役に立てるので、こちらこそありがとうございました。
「e-closet」立ち上げから、もう8年にもなりますね。クリーニング業界は、売上げが半減しています。崩壊といってもいい状態ですが、そんな中にあっても、お陰さまで堅調に伸びております。「e-closet」は、通常のクリーニング料金でクリーニングした商品をお客様が入用になるまで最長半年間、保管を請け負うというサービスです。お客様はクリーニングという価値ではなく、部屋が広くなるということに価値を見出されているのでしょう。リピート率は80%にもなります。新しい価値を創造することで、右肩上がりができる業態、業界へ変えていかなくてはと思っています。
鈴木 「e-closet」以外にもいろいろなサービスを展開されていますね。
中畠 ムーンライトデリバリー23」は東京都心部で夜間に特化したサービスで、これも7年目になりますね。3年前からは大規模マンションでクリーニングを受け付けるサービス「FCS(フロント コンシェルジェ サポート)」を大手マンション会社と提携し、全国展開しています。
鈴木 どれもクリーニングに新たな価値を加えたサービスですね。今後はどのような展開をお考えですか。
中畠 いろいろやってきましたが、今目指しているのは、一言で言えば、脱・クリーニング。 クリーニングにこだわらず、生活サポート企業へ変換していきたいと考えています。日本は成熟社会です。成熟社会ではモノは売れません。ないモノがあれば、欲しいと思うでしょうが、モノがあふれていると特に欲しいとは思いません。だからこそ、心といったらいいのか、目には見えないモノが売れると思います。例えば、今ツィッターが受けていますね。これもいい例だと思います。モノが充足しても心が満たされない、そんな人が多い。つながり、安心、自分らしさ、安全、人の役に立ちたい…そういったものを欲しているような気がします。働き方も変わりつつありますね。商売にも文化的な価値が必要だと痛感しています。
鈴木 同感です。
中畠 店の前でマルシェを行っていて、お米やお茶、野菜などを産直販売しています。始めは、オープニングのイベントとして行ったのですが、評判がよく、定期的に行うようになりました。このように生産者と生活者を思いでつなぐことによって、新たな価値が生まれると思います。
鈴木 私たちも洋服の交換会をやっていますが、思いを書き綴ったエピソードカードをつけることで、思いをつないでいこうと思っています。
中畠 それはいい試みですね。「回収」も単に回収するだけでなく、お客様の気持ちを活かすことがキーポイントになると思います。
鈴木 生活サポート企業構想についてもう少し教えてください。
中畠 先ほども申し上げましたが、クリーニングにこだわらず、衣食住全般で生活をサポートしていきたいと思っています。
「衣」に関しては、洗う、アイロンがけ、リフォーム、リサイクル、引き取り、などなど。
「食」に関しては、店頭で行うマルシェですね。
「住」に関しては、ハウスクリーニングを手がけています。
実は、12月から千代田区5店舗で、40000アイテムを取り扱う生活ネットショップと提携し、配達サービスを行います。電動アシスト自転車で走り回る現代版御用聞き、生活サポーターです。ご家庭に訪問し、お客様のご要望を伺い、I-padで入力し、商品が着たら、配達をする。地域密着型のサービスで、一人暮らしのお年寄りや、子育て中のお母さんなどのお役に立てるのではないかと思っています。単にモノを届ける運送屋さんではなく、生活サポーターが持っていくことで価値があると思います。
鈴木 素晴らしいアイデアですね。きっと成功されることでしょう。
中畠 これからは競合する時代ではありません。共存していくことがテーマです。異業種のいろいろな企業と提携していますが、同業のクリーニング屋さんとも提携しています。来年に100社になるでしょう。喜久屋方式クリーニング工場のライセンスも日本だけではなく、韓国、タイ、中国へと拡大しています。
鈴木 ますますのご発展ですね。その秘訣というか、発想の源は何でしょうか?
中畠 まず役に立つことだと思います。結果、儲かればいいんです。それと顧客満足って、分かりにくいと思いませんか。「不」取りと言っていますが、不満、不便、不安、不快などの不○の「不」を取ることを考えていけばいいじゃないかと思います。
鈴木 なるほど、それはとても分かりやすいですね。不取りですか。協会の活動においても、すごく参考になります。これからも、よろしくお願いします。今日は、どうもありがとうございました。

中畠信一(なかはた・しんいち)
株式会社喜久屋代表取締役兼CEO。1962年生まれ。1985年、父親の経営する有限会社喜久屋クリーニングセンター(株式会社喜久屋)に入社。工場での勤務を7年間経験後、1992年、専務取締役として本部に入る。1999年、代表取締役に就任、現在に至る。

・好きな食べ物は? 日本食及び野菜全般
・好きな飲み物は? ワイン
・理想的な休日の過ごし方? スポーツ(ジム、ゴルフ、ダイビングなど)
・モットーは? 「善の創造」 ※善=人類の生存、発達、安心、平和、幸福を実現する為のコト・モノ
 
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