生活スタイルを見直す”リ・ファッション”の推進によって、循環型社会の実現と、生活の質的向上を目指します。
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鈴木純子のリ・ファッション対談
(社)日本リ・ファッション協会、代表理事の鈴木純子が、リ・ファッションに関係するキーパーソンと対談し、リ・ファッションとは何かを掘り下げると共に、それぞれのリ・ファッションに捧げる情熱に迫ります。
第13回目は、きものドレスアーティストの宝千華、石田千津子様をお招きしました。石田様は富山を拠点に全国的に活躍されています。2010年12月18日、19日に西武ドームで開催された日本最大級のフリーマーケット『MOTTAINAIフリマ2010』に当協会がブース出展するに当たり石田様を講師に迎え、着物リメイク教室を開催しました。この対談は、そのイベントの前日、イベントの打合せを兼ねて行ったものです。さて、どのようなお話が繰り広げられたのでしょうか。
 
鈴木 今回は、リ・ファッション対談をお引き受けくださいまして、ありがとうございます。明日からの着物リメイク教室もお力をお借りして、開催できることになりました。多くの方にリ・ファッションの楽しさ、面白さを知ってもらうためにも何としても開きたかったワークショップでお力添えに本当に感謝しております。
石田 いえいえ、こちらこそ、いいチャンスをいただきました。ありがとうございます。
鈴木 石田さんが着物リメイクを始めたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
石田 私は本当に独学なんですよ。洋裁も和裁も花嫁修業程度でね。有名な先生に付いたわけでも、パリに留学したわけでもありません。
洋服作りは趣味で、自分や3人いる娘のものは全部作っていました。それから人から頼まれると、縫ったりね。
前々から着物を洋服にして着たらいいのじゃないかしら? となんとなく思っていましたら、ある時、知り合いが着物をお持ちになり、これでドレスを作れないかと依頼されました。その時初めて着物に鋏を入れました。その方はステージに立つ方で、自分で言うのもなんですが、なかなかの出来映えで、ステージでもとても映えました。
そんなこんなで着物で洋服を作り始めたら、どんどん増えてしまって…。
鈴木 それで、どうなさったんですか?
石田 60歳の時、思い立って、ファッションショーを行いました。100着のドレスをそれぞれのテーマにふさわしい名前をつけて、33人のモデルに来てもらって、大成功でした。ショーが終わって、モデルをして下さった方々と写真に納まろうとしたのですが、お客様がぞろぞろ付いてきて、350人ぐらいいたかしら。一緒に収まりました。
鈴木 すごいですね。お客様たちは大感激だったのでしょうね。
石田 だと思います。地元の新聞やテレビも取り上げてくれて、また多くの人から頼まれるようになり、そのこいしているうちにお教室も開くようになりました。
鈴木 でも、60歳というのは、遅いスタートのような気もしますが…。
石田 そうですね。だからこそ、私は強く伝えたいと思います。やりたいことはいつからでも始められる、とね。遅いということは決してありません。
鈴木 確かアメリカのグランマという画家は、その名の通りおばあちゃんで、ずっと農業に従事しながら子育てどころか、孫育ての手が放れてから、描きたかった絵を描き始めたと聞いたことがあります。そういう素敵な先輩がいると心強いです。
石田 本当に。繰り返しになりますが、やりたいことはいつからでも始められるのです、年だからとか、手遅れだからということはありません。
鈴木 ファッションショーは、「リ・ファッションコンテスト」でもぜひやりたいと思っているのですが、モデルさんを集めるだけでも大変だったのではありませんか。
石田 不思議なことに、やりたいと強く思うと人は付いてくるものです。
鈴木 では私たちも、もっともっと強く思うことにします(笑)。
ところで、着物リメイクをしていて一番楽しいことは何でしょうか?
石田 着物とは30年以上関わっています。最初は自分で着るためだけでした。それが、リメイクをするようになって、今まで見たことのないようなオリジナルな服を作れることが楽しいです。普通だったら、虫食いしていたりするところを捨ててしまいますが、その中で使えるところは使う。それが自分なりのことかなと思っています。本の通りだと、一枚の布からスカートを作ったら、それでおしまい。でも、残った布で、いくらでもやりようがあります。どんな切れ端でも決して無駄にはしません。帯一本でも、レースのように虫食いしているモスでも、一片の布からどんなに汚れていても、その中から使えるところを選ぶ…之だけは自信があります。
鈴木 これからしたいと思っていることはありますか? どんな夢でしょうか?
石田 日本中に着物はいっぱいあります。捨てられる着物を見ると悲しい、死んでも死に切れないって感じですね。例えば、おばあちゃんのおばあちゃんが着ていた着物。命は繋がっています。この点を広く伝えていきたいと思っています。
こんなに綺麗な着物を着て、日本人は優しく生きていたのだと伝えたいですね。
いつも言うのですが、「変化すれば進化する」。着物は捨てずに変化させ、暮らしもご自身も進化して欲しいですね。
それと、いろいろな方から指摘されるのですが、「嬉しいな、楽しいな」だけでは駄目。それでは、自己満足に過ぎません。技術をちゃんと評価してもらい、しっかりとお金に換えていくことも大切です。生徒さんたちにも少しずつ稼げるようにしていきたいと思っています。日本には、着物はたくさんあります。夢は必ず実現する、そう心して日々活動しています。
鈴木 「回収キャンペーン2010秋」を行って、本当に着物を送ってくださる方が多く、着たくても着られない、捨てるに捨てられない代表選手は着物なのかな、と思いました。本当に日本中には、たくさんあると実感しました。
石田 先ほど一部を拝見しましたが、最高の大島がありましたよ。白の大島はとても珍しい、貴重なもの。40工程もの手をかけて作られています。決して捨ててはいけません。
着物に包まれると、優しい気持ちになれます、そして元気になれます。これを多くの人に実感してもらいたい。
絣、大島、友禅、ありとあらゆるものを集めています。全部で一万枚ぐらいはあるかもしれません。でも、同じ着物はありません。実に様々なデザインがあり意匠力に優れています。有名な作家のものでなくても、一枚一枚素晴らしい技術で作られています。
「着ることは生きること」です。特に絹は、蚕の命そのもの。一つの繭から1500メートルの糸になります。それが織られて、染色され、刺繍や絵付けがされて、縫われて…ぜひ身につけて、その命を、エネルギーを感じてください。本物の持つ凄さがお分かりになると思いますよ。
鈴木 今日は、どうもありがとうございました。私自身も着物を着るチャンスがなかなかありませんが、今日お話をしてみて、機会をできるだけ作って着たいなと思いました。
これからもよろしくお願い申し上げます。
石田 こちらこそ。微力ながら、協力しますので、ぜひリ・ファッションを広めてください。最近「息災でいてください」とよく言われます。そう言われると、まだまだやることがある、やれることがあると期待されているのだと嬉しく思います。
鈴木 ますますお元気でご活躍ください。これからもお力を、お知恵をお借りしたいので、いつまでも息災でいてください。日本だけでなく、世界に着物の良さを広げていきたいと思いますので。

石田千津子(いしだ・ちずこ) きものドレスアーティスト
1937年、富山生まれ。3人の娘を育てながら、独学で創作ドレスの制作を続ける。地域の女性社会教育のボランティア、モティベーターとして活躍。音楽、講演、絵画など様々なイベントを企画・プロモーションにも携わる。60歳で、富山女性センターにて『100着すべて新着のファッション・ショー』を物語仕立てで開催。好評を博し、本格的に作家活動をスタート。「きものも変身!あなたも変身!」をテーマに、魂がうちふるえる「魔法の場」を展開中。「変化すれば進化する」をモットーに、富山を拠点に全国に発信している。

◎「夢と美の空間・宝千華」代表 ◎イベント会社「観音・企画」代表取締役 ◎「楽らく洋裁教室」講師 ◎富山工芸協会会員 ◎とやまいきいき長寿財団シニアタレント



・好きな食べ物は? 牡蠣、柿、蟹、すいか
・好きな飲み物は? コーヒー、抹茶
・理想的な休日の過ごし方は? 自然の中のひなびたお湯、海外旅行
・モットーは? 「変化すれば進化する」
・ご自慢のコレクションは? きものや帯
・最後の晩餐は何? フランス料理のフルコース
・好きな音楽(曲)は? ボレロ
・好きな本は? 生きがいの創造
・好きな映画は? 風と共に去りぬ
 
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