生活スタイルを見直す”リ・ファッション”の推進によって、循環型社会の実現と、生活の質的向上を目指します。
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鈴木純子のリ・ファッション対談
(社)日本リ・ファッション協会、代表理事の鈴木純子が、リ・ファッションに関係するキーパーソンと対談し、リ・ファッションとは何かを掘り下げると共に、それぞれのリ・ファッションに捧げる情熱に迫ります。
第14回目は、リ・ファッション ワークショップで素敵なビーズ刺繍を教えてくださっている海野南美先生をお招きしました。さあ、どのような対談が繰り広げられるでしょうか。
 
鈴木 今回は、リ・ファッション対談をお引き受けくださいまして、ありがとうございます。海野先生には、先日のリ・ファッション ワークショップで素敵なビーズ刺繍を教えていただいて、私の創作魂に火がつきまして(笑)、ビーズ刺繍を施したシュシュを創りました。この間お友だちの誕 生パーティーにしていったら、なかなか好評でした。
海野 そうやって楽しんでもらえると、教える側としては嬉しい限りです。
鈴木 ところで、ビーズ刺繍を始めたきっかけは、どのようなことでしたか?
海野 若い頃、洋裁をやっていまして、青山にある、歌手やタレントさんの衣装を作っているアトリエから委託でお仕事をもらい、縫製をしていました。
その頃、もう30年以上前になりますが、渋谷に東急ハンズができることになったんです。初めての、ハンドメイドの大型専門店でしょう。とても興味があり、その開店スタッフに応募しました。針や糸などを扱う手芸材料の担当になりまして、小さい売り場ですけれど、そこを任されました。どんなものを仕入れて、売るかということも自分の裁量でできる。とても遣り甲斐がありまして、楽しい日々を過ごしていました。
そんな時に見合い話がありましたが、とにかく仕事が面白い。結婚する気はまったくなかったのですが、友だちが『結婚する相手はビッビッビと来るものだ』と言うので、そのビッビッビというのは、どんなものかなと思って見合いをしてみることにしました。
鈴木 で、ビッビッビと感じられたんですね。
海野 いえ、それがまったく。でも、なんか話は進んでしまって、結婚することになってしまいました。夫の持ち家があったのですが、それが渋谷からは遠い。しかも夫は定時に帰宅するのに、私のほうは、遅番があったりする仕事です。仕事はずっと続けたいと思っていたのですが、そんな事情もあり、仕方なく辞めました。すぐに娘を出産しましたが、家の中にじっと納まっているのはイヤ。でも、子どもはまだまだ手がかかるし、今とは就職の状況も違っていますから、主婦が働ける仕事にも限りがありました。そんな時にアトリエの先生にお電話をして、また、縫製のお仕事をいただけないか相談したんです。そしたら、『ビーズをやらないか?』と言われて…娘が1歳の時ですから、もう30年になりますね。
鈴木 それまでもビーズ刺繍はやっていらっしゃったのですか?
海野 いえ、母に言われて子どもの頃から、洋裁だけでなく、日本刺繍やフランス刺繍、スペイン刺繍などにも親しんでいましたが、ビーズ刺繍は洋裁学校で基礎を少し習っただけ。特に勉強したわけではありません。それにアトリエの先生も何も教えてくれません。サンプルを見せ、『こんな感じで刺してみて』と言うだけ。初めの頃は、ずいぶん思い悩みました。でも、ある時、自分で考えて刺したいように刺せばいいのだと思ったら、すっきりとして、悩まなくなりました。
鈴木 まったくの独学で、このように素敵な作品が作れるのですか。
海野 刺繍をしているうちにセンスが磨かれたのかしら。パリコレに行っている暇はないので、海外の雑誌にはできるだけ眼を通すようにしています。刺繍とか、ファッション関係の雑誌だけでなく、海外の建物の図案集なども見ます。カーテンの柄など、とても参考になりますよ。それから、自然。自然はデザインの宝庫です。何でも参考になります。
鈴木 デッサン力というか、色彩感覚というか、先生の図案起こしが素晴らしいと思います。
海野 ありがとうございます。歌手のMKさんはね、
鈴木 紅白歌合戦の時に、いつも衣装が話題になる方ですね。
海野 そう、あの方のステージ衣装の刺繍をずっと担当していますが、アトリエの先生の話では『あんたの作る洋服は気に入らないけれど、この刺繍がいいのよねぇ』とおっしゃってくださるそうです。
鈴木 MKさんのステージ衣装って、すごく手が込んでいるように思えますが、かなり時間がかかるのではないですか?
海野 MKさんの場合は、1ヶ月に1着というお約束になっています。そういう定期的な仕事も増え、一人ではやりきれなくなったので、スタッフを集めてやるようになりました。仕事の場合は、締切が第一。間に合わなければ、信用を失いますからね。
鈴木 お知り合いにビーズ刺繍がお好きな方とか、得意な方がいらっしゃったんですか?
海野 いえ、違います。針仕事が好きな方を募集して、試し刺しをして決めました。しっかりできるようになるまでに時間がかかるので、ある程度の人数を確保。特に女性は、家のことなどで急に当てにできない状況が起こりうることもありますから、その意味でも人数は確保する必要があります。
まったくの素人をプロの衣装を作れるように育て上げた、この経験を活かしていきたいと思っています。
鈴木 ビーズ刺繍の普及を目指されるわけですね。
海野 ええ、多くの方に知ってもらえるように広めていきたいと思っています。学校でもビーズ刺繍を教えているところは少ないようですし、本も余りありません。また、本だけでは伝わりにくいのも事実です。でも、ビーズ刺繍のいいところは、刺し方の基本さえ覚えれば、あとは自由にできるものです。長く通って習得するものではなく、単発のワークショップで充分です。
鈴木 日本リ・ファッション協会では、いいものを長く愛用しようと提唱していますが、お気に入りのものを自らビーズ刺繍をすれば、さらに愛着が湧きそうですね。
海野 その通りです。気に入っているけれど、ちょっと変化させたい。シンプルすぎて、少々飽きが来た。そんな服に、一手間加えるだけで、ビーズアートするだけでぐっと生き返ります。同じ既製品であっても、カスタマイズすることで、個性がプラスされますよ。
鈴木 まさにリ・ファッション的ですね。今後は、どのようなことを?
海野 ビーズ刺繍を広めるために、本を作りたいと思っています。すべての刺し方の基本があるような図案で、刺し方の基礎を覚えてもらい、あとはご自身で自由に好きに刺してもらうのがいいのではと思っています。図案もある程度考えてあります。おそらく1時間もあれば、刺し方の基礎は覚えられると思います。もしかして本より、むしろCDのほうがいいかもしれませんね。CDなら、何度でも繰り返し見ることができますから。それと、図案とビーズ、糸などをキットにしたものを組み合わせて…ビーズ刺繍をたくさんの人に楽しんでもらえるようになればいいなと思っています。
鈴木 素敵ですね。協会も微力ながら、お手伝いさせていただきます。これからも、ワークショップのチャンスを作りますので、講師をよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございました。

海野南美(うみの・なみ)
NOA Beads主宰。ビーズ刺繍の素晴らしさに魅了され、ドレスや小物の販売を行うとともに自宅アトリエにて教室を開講。紅白などのステージ衣装も手がける。





・好きな食べ物は? いちご
・好きな飲み物は? ゴクリ(グレープフルーツ味の飲み物)
・座右の銘は? 喜ばれることに、喜びを
・理想的な休日の過ごし方は? ロッキングチェアーにゆらり座りながら、海を見て、昼寝する事
・最後の晩餐は何? 気の合った仲間との和食
・好きな音楽(曲)は? バッハの人の望みの喜びを
 
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